血管は沈黙の臓器
健康診断の結果、血糖値やコレステロール値が高くても、別に症状があらわれているわけじゃないから大丈夫と自己流に解釈し、放置している人は意外に多いのではないでしょうか。
血管は沈黙の臓器です。血糖値やコレステロール値が高くても、メッセージを発してはくれません。 かゆかったり、痛かったりという自覚症状があれば、放ってはおかないのでしょうが、いかんせん前触れとなる症状が出ない。
そして、突然、事故を起こし、場合によっては命にかかわることもあります。だからこそ怖いのです。
血糖値なんて、多少高い方がいいんだなんて思っている人は危険です。 高血圧、高血糖、高コレステロール、この3つの要因がそろったら、血管トラブル発症の確率は健康な人の27倍にもなります。
確かに発症するその瞬間までは何の症状もありませんが、それを元気と思い込むのはとても危険なことです。
根拠のない自己診断によって、半身不随になるか、命を落とすことになるかもしれないのです。
一命をとりとめても、あのとき、自分の身体のことをどうしてもっと真剣に考えなかったんだろうと必ず後悔することになるのです。
紫外線の影響
紫外線は、肌をサビつかせる活性酸素をつくり、しみ、しわの原因になります。また、皮膚の免疫力そのものも低下させます。
紫外線は、骨量が減ってくる更年期世代にとっては、活性型ビタミンDをつくって、カルシウムの吸収をよくする効用があるのですが、肌にとっては大敵。
年間を通して紫外線対策をする必要があります。
とくに、春夏から秋にかけての紫外線の強い時期は、紫外線防止効果の高い化粧品で、一歩進んだ紫外線対策が必要です。
肌をしっかりガードするには、紫外線吸収材と紫外線散乱剤を組み合わせたサンスクリーンを選ぶとベストです。
ただし、紫外線吸収剤は、肌に刺激を与えやすくかぶれを起こすこともあるので、敏感肌の人は、紫外線吸収剤の配合されていないタイプを選ぶとよいでしょう。
外にでるときは、日傘や帽子も必需品です。また紫外線は、雨の日や曇りの日も注いでいます。
さらに、しわの原因となるUVA(紫外線A波)は、ガラスを通して皮膚に入ってきます。車の運転中はもちろん、リビングやオフィスなどでも窓際の場所では紫外線が届いています。
思わぬ場所での日焼けにも注意してください。 肌への水分補給のための化粧水、皮膚の保湿力を高める美容液、クリームなど、自分の肌にあったスキンケアで保湿、保水をたっぷりしましょう。
なお、化粧水は皮膚の角質層の水分を保持するセラミドやアミノ酸、コラーゲン含有のものを選ぶとよいでしょう。
また抗酸化作用をもつレチノール配合の化粧品もしわ対策に効果があります。
※サンスクリーンには配合さている成分によって、紫外線を科学的に吸収して皮膚に届かないようにする紫外線を化学的に吸収して皮膚に届かないようにする紫外線吸収剤と、紫外線を反射して皮膚に届かないようにする紫外線散乱剤があります。
このふたつを組み合わせた製品もあります。
関節リウマチとは
免疫は、外から侵入する異物を排除し、自己から守るからだのしくみですが、なぜか自分自身の細胞やタンパク質などを異物として認識して反応してしまうことが起こります。
これによって起こる病気を自己免疫疾患といいます。
その代表的なものに、関節リウマチやシェーグレン症候群などの膠原病があります。
関節リウマチは、関節に炎症が起きて関節がこわばり、腫れて痛くなる病気です。 女性に多く見られる病気で、女性の患者は男性の3‐4倍にものぼります。
発症しやすい年代は30-50代で、更年期前後に発症することが少なくありません。
はじめは、手指の小さな関節や、足の指の付け根、手首などの関節が痛みだし、しだいに腫れをともなうようになるのですが、膝やひじなどの大きな関節から発症することも少なくありません。
進行すると関節が変形して動かしにくくなります。肺や心臓、腎臓、肝臓、目、皮膚、神経など間接以外にも症状が出ることがあります。
はっきりした原因は不明です。遺伝的な要因やウィルス感染、女性ホルモンの影響などが考えられています。
非ステロイド系抗炎症薬、抗リウマチ薬などの薬物療法が中心で、ときに手術が行われます。
炎症がおさまったら、関節の動かせる範囲を広げるために、筋肉を鍛える体操や理学療法を医師の指導の下におこなって関節の変形を防ぎます。
初期は、朝起きた時に、手が腫れぼったくて、指を曲げにくいといった症状た現れます。関節が病んで、腫れるなど気になる症状があるときは「更年期の不調かも」と自己判断せずに、リウマチの専門医に受診しましょう。
ストレスをためやすい人
過度なストレスは、心身ともに悪影響を及ぼします。
ストレスをためやすい人は以下のような人です。
思い当たる人は、自分なりのストレス解消法を見つけた方がよいでしょう。
・まじめで几帳面な人
仕事や家事をきっちりこなす反面、物事を臨機応変にとらえることが苦手。何事にも「〜すべきだ」と思いこみ、それが大きなストレスになってきます。
・完璧主義で責任感の強い人
休むのが苦手で、親の介護や仕事でくたくたに疲れていても、自分を叱咤激励してがんばり、ストレスをためてしまいます。
・人からどう思われるか気になる人
相手の何気ないひとことにも傷ついたりします。また、自分本当はどうしたいのかよりも、人にどう思われるかを優先して考えるため、心の中で不満がたまります。
・すぐに人を頼りにしてしまう人
家族が更年期のつらさを理解してくれない、誰も手助けをしてくれない、など自分で行動を起こさずに人に期待ばかりしているとストレスがどんどんたまります。
年齢と体力
これまで体力があった人は、40歳を過ぎてからの体力の低下になかなか気づきにくいものです。
とはいえまだ体力(エネルギー=気)がある分、無理ができてしまうので、エネルギーレベルが下がってきても、たまたま疲れているだけとやり過ごしがちですが、そうした行動は、結果的にどんどんエネルギーレベルを落としていってしまうことになります。
マイナス・レベルになるともはや無理が利かない状況になり、そこでやっとエネルギーが枯渇していることに気づくというような事態になりかねません。
いままでできていいたのに、なぜできないのか?疲れがぜんぜん抜けないと心身の以前との違いの大きさに驚き、かえって不安になってしまうこともあるでしょう。
また、この段階で気づかずに、さらに無理を重ねると、不調を通り越して病気になってしまい、過労死などのリスクも高まります。
みなさんが周囲を見渡して、あんなに若々しかったのに、最近、急に老け込んだみたいと思える人がいたら、かつては高かったエネルギー・レベルがいまではマイナスになってしまっている可能性が大きいのです。
一病息災ともいいます。この意味は、持病が1つくらいあるほうが、無病の人よりも健康に注意して、かえって長生きするということです。
小さいころから病気一つしなかった人や無理がきいた人は、40歳からは「いつまでもエネルギーの総量は大きくない」ということを意識しておきましょう。
ホルモン補充療法のやり方
ホルモン剤の投与法は、病院や医師によっても異なりますが、大きく分けて次のような方法があります。
1、周期的服用法
エストロゲン剤を毎日服用(パッチ薬の場合は連続して貼付)しながら、1ヶ月の後半の12日から14日間、プロゲストーゲン剤を併用して飲む方法です。
この方法では、プロゲストーゲン剤を飲み終えるころに月経に似た出血をみますが、出血量はだんだん減っていき、約3年くらいでなくなります。 月経がある時期から更年期の症状に苦しむ人や閉経後間もない人、月経様の出血が気にならない人などに向いています。
自然の月経と同じホルモンの波をつくるので、この周期的服用法と休薬期間を設ける方法やエストリオール剤を単独で服用する方法に替えてもよいでしょう。
2、周期的服用法+休薬期間を設ける方法
1の周期的服用法に、約1週間前後の休薬期間を設ける方法で、より自然な月経のサイクルに近い方法といえます。 ただ、休薬期間中に症状が出てつらいという人もいます。その場合は、症状が落ち着くまで1の方法に切り替えます。
3、連続2剤併用法
エストロゲン剤(服用また貼付)といっしょにプロゲストーゲン剤を毎日のみ続けます。飲みはじめて半年くらいは、おりものに少量の血が混ざったり、不定期な出血があったりします。最初は気になるかもしれませんが、半年から1年くらいたつと、出血はほとんどみられなくなります。閉経して数年たった人や出血をいやがる人に向いています。
4、エストロゲン剤単独服用法
エストロゲン剤(服用また貼付)を連続して、または1ヶ月のうちに1週間の休薬期間を設けるなどして周期的に用いる方法です。子宮筋腫などで子宮を摘出した人は、子宮体がんのリスクがないので、プロゲストーゲン剤を飲む必要がないのです。
また、閉経から10年くらいたってHRTをはじめる人には、もっとも作用の弱いエストロゲン剤(エストリオール)を単独で用いる方法もおこなわれています。 エストリオールは子宮内膜に対する作用が弱く、子宮体がんを引き起こす心配もないので、子宮のある人でも単独で使うことができるのです。
エストロゲン剤を単独で用いる場合、閉経している人はあらたに出血することはありません。
更年期症状の原因と対策
更年期のさまざまな不快症状は、卵巣の機能の低下にともなって、女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少したり、分泌が不安定な状態になったときに起こります。その急激な変化がからだにとって大きなストレスになるのです。
一般に、エストロゲンの血中濃度が1mℓ中50pg(ピコグラム=1gの1兆分の1)以下になると、更年期の症状が出やすくなるといわれています。
そこで、外から飲み薬や貼り薬などによってホルモンを補ってあげて、ホルモンの急激な減少にからだが無理なくついていけるようにしようというのがHRT(ホルモン補充療法)の目的です。
よく、女性のからだのライフサイクルは、飛行機の離陸(思春期)と、着陸(更年期)にたとえられます。エストロゲンの分泌が変動しつつ減少して着陸時に衝撃を感じるのが更年期です。
そこで、外からホルモンを補うことで、衝撃をやわらげて軟着陸させるのだと考えるとわかりやすいでしょう。
HRTは、現在ではもっとも有効な更年期障害、更年期症状の治療法として、欧米では主流になっていますが、日本での普及率は1.5%とまだまだ少ないようです。
その背景には「更年期の症状は、病気ではないので自然のままに任せるべきだ」という日本人の独自の価値観や、副作用が怖いという心配があるようです。
でも、どんな薬にも、からだによい効果をもたらす副作用があれば、必ずそれにともなう副作用があるものです。
大切なことは、HRTの長所と短所を正しく理解して、自分で納得して使うことです。
(HRTの誕生のきっかけ) HRTは、1960年代にアメリカで開発されました。 ある婦人科医がピルを常用している女性が年齢より若々しいことに着目したことには
じまります。 ピルに含まれている女性ホルモンのエストロゲンが若さを保つのに効果があり、しかも更年期の症状を改善することがわかって更年期の治療に使われるようになりました。
ただ、エストロゲンだけを用いた初期のホルモン補充療法(ERT)は、子宮体がんの増加という副作用が現れました。
しかしその後、研究がすすんで、1970年代からは、エストロゲンとプロゲステロンを併用することで、むしろ子宮ガンの発生が抑えられ、骨粗しょう症や高脂血症などの予防にも役立つこともわかりました。
現在、HRTは更年期障害のもっとも有効な治療法として注目されています。
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